数年前に親が亡くなり、時間があるときに行っては片づけている実家。もちろん私が実家を出る20代までを過ごした1980年代~1990年頃の懐かしいアイテムも多数発掘されているわけです。自分としてはもう要らないから捨てていい、という気持ちで置いてきてしまっている物がすべて残されていて(親は本当に物を捨てない)、そこには驚きしかありません。
たくさんのLPレコードやEPレコード(シングルレコード)、昔読んでいた雑誌などの隙間から出てきたのが、この『アンナミラーズ』のメニュー。
大きくて素朴なアンナミラーズのパイは、昭和の時代に衝撃的
アンナミラーズは1973年、アメリカを起源とするレストラン。日本でも1973年、青山に1号店をオープンしているようです。ミニスカートのユニフォームとデザートパイが有名で、2022年に最後の実店舗となったウイング高輪内の高輪店が閉店する際はニュースになりました。
このメニューはおそらく、1985年頃のものと記憶しています。当時、原宿に『パレフランス』という大人なファッションビルがあり、たまたま訪れたそのビルの地下1階にあったのがアンナミラーズです。というのは、その頃、初めて親とラフォーレ原宿に行き、DCブランドの洋服を買ってもらったのを覚えていて、買い物帰りになんとなく立ち寄ったのがパレフランスだったから。
初めて見たアンナミラーズは衝撃的。近所のケーキ屋さんでケーキ1個がだいたい100円台~高くても300円程度で買えていた時代に、1カット400円くらいのパイがずらり。そもそもパイ自体も珍しいし、1カットが大きい。さらに見たこともないボイセンベリーなんてフルーツも(ちなみにボインセンベリーはラズベリーに近い味)。
今でこそ日常的に手に入るキウイフルーツやブルーベリーは当時、まだ希少で高級品。そのほか、ココナッツやハワイアン、ダッチアップル、ピーカンなどアメリカンなラインナップも衝撃でした。
青山、赤坂、自由が丘、原宿、広尾……オシャレタウンにあったアンミラ
私の実家は浅草から近い場所にあり、下町ではあるものの、そこそこ美味しいケーキ屋さんがありました。特に好きだったのは雷門から近い場所にあった『ボンソアール』というフランス洋菓子とフランス料理のレストランが併設されたお店。上品なデザインと甘さ控えめだった「ガトーオレンジ」という名前のケーキが大好物でしたが、アンナミラーズはその対極。それ以来、原宿に行くたびにアンナミラーズでパイを4個くらい買って帰るのが決まりとなりました。友達と行くときは、親がアンミラ用にお金を渡してくれてたと記憶。
そのため、パイの紙袋に入れてくれていたパイメニューを大事に保管していたのかもしれません。昭和にインターネットはもちろんないので、アンミラがチェーン店で原宿店のほかに、青山、赤坂、自由が丘、広尾、目黒、駒沢、吉祥寺、下北沢、高輪、渋谷と都内のオシャレエリアにも店舗があることも、そもそもアメリカが拠点ということもこのメニューから知ったのでした。
かなり大人になってから、通勤経路の途中にあった高輪のアンミラには何度か行ったのを覚えています。
10代の頃も、大人になってからも好きだったのは「レモン」と「ダッチアップルと「チーズケーキ」。レモンは「レモンメレンゲ」とは異なり、レモンカードの上にホイップクリームがたっぷりのっているパイ。ダッチアップルはタルトタタンに近い?クタクタに柔らかいリンゴにクッキークランチみたいなのがトッピングされているような感じ。これにバニラアイスクリームトッピングで食べるのがお気に入りでした。チーズケーキは今で言うニューヨークチーズケーキスタイル。濃ゆいレアチーズケーキでした。年代ごとの人気のパイランキングとか見てみたい。
1985年頃のアンナミラーズのパイのお値段
バナナ 1ピース400円/チョコレート 1ピース400円/ココナッツ 1ピース400円/マロン 1ピース430円/レモン 1ピース380/ハワイアン 1ピース430円/アップル 1ピース350円/ブルーベリー 1ピース400円/チェリー 1ピース380円/ダッチアップル 1ピース380円/ボイセンベリー 1ピース400円/レモンメレンゲ 1ピース350円/フレッシュキウイ 1ピース450円/ロッキーロード 1ピース450円/ピーナッツクリーム 1ピース400円
チーズケーキ(プレーン)1ピース430円(ブルーベリー、チェリー、ボイセンベリートッピング 1ピース530円)
ココナッツカスタード 1ピース450円/フレッシュストロベリー 1ピース500円
サワークリームパイ(プレーン)1ピース400円(ブルーベリー、チェリー、ボイセンベリートッピング 1ピース500円)
ピーカン 1ピース400円 /パンプキン 1ピース400円