家族に高齢猫さんがいると心配なのが猫の腎不全。ニュースでは「猫の寿命を30年」にすべく、新薬の開発がされているとのことですが実用化はまだのよう。動物病院ですすめられる一般的なケアは自宅でのソルラクト輸液の皮下点滴になりますが、どれくらい効果があるのか、続ける意味はあるのか、スタートする時、とても心配でした。だって、針を刺すの怖いし、看取りの段階ではないから猫も元気だからすごく嫌がるし。ところが実際にスタートしてみると、自宅でのソルラクト輸液の皮下点滴は、クレアチニン数値の現状維持には効果があると感じたので、ここでは、ソルラクト輸液の頻度や量、数値、費用などについて共有していきます。
もともと尿路結石になりがちだった猫のかめ吉。おしっこの出が悪くて、夜間救急で診察してもらうこともあったし、数日の入院を経験したこともありました。紆余曲折を経て、現在は尿路結石用のごはんと水でなんとかケアはできているものの、2022年に先輩猫さんを悪性リンパ腫で亡くしていることもあり、3~6か月に1度は動物病院でオシッコと血液検査をしてもらうようにしていました。
- 2023年3月27日のクレアチニン数値と尿検査
- 2023年7月24日の血液検査でクレアチニン数値が悪化
- ソルラクト輸液を自宅で皮下捕液するにあたって必要なもの
- 週1回のソルラクト皮下捕液を開始して約1か月→2023年8月21日のクレアチニン数値
- 週2回のソルラクト皮下捕液を開始して約1か月→2023年9月16日のクレアチニン数値
- 週3回のソルラクト皮下捕液を開始して約2か月→2023年11月11日のクレアチニン数値
- 週3回のソルラクト皮下捕液を継続→2023年12月23日のクレアチニン数値
- 週3回のソルラクト皮下捕液を継続→2024年3月11日のクレアチニン数値
- 自宅でのソルラクト皮下捕液にかかる費用について
2023年3月27日のクレアチニン数値と尿検査
そして、2023年3月末のこと。吐く頻度が多かったので来院、念のため尿検査と血液検査をしたところ、クレアチニン(Cre/creatinine)の数値がやや高め。猫の参考基準値よりやや上回っていました。
検査日:2023年3月27日
年齢:13歳9か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.15mg/dL
尿素窒素(BUN):31.1mg/dL
ALT/GPT:105U/L
動物病院の医師曰く、クレアチニンの数値はやや高くなってはいるが、今何かすべきかという段階ではないとのこと。 ひとまず様子見となり、帰宅しました。
この日の費用は診察料や尿検査、血液検査代など含めて12,650円でした。
※動物病院によって金額は異なります
2023年7月24日の血液検査でクレアチニン数値が悪化
年に1度の三種混合ワクチン接種のため来院。合わせて血液検査もしてもらうことに。
4か月前は、クレアチニン数値が2.15mg/dLだったところ、2.64mg/dLとかなり上がってしまっていました。
検査日:2023年7月24日
年齢:14歳1か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.64mg/dL
尿素窒素(BUN):32.3mg/dL
前回の検査から4か月しか経っていないのに、クレアチニンの数値が爆上がっていたので、取り急ぎ、診察の流れでソルラクト輸液を皮下捕液してもらうことに。
また、自宅でのソルラクト輸液の皮下捕液もすることになりました。
うちのかめ吉は体が大きいので、ソルラクト輸液の量は1回につき200ml
ひとまず週に1回で様子を見ることにしました。
この日の費用は、診察料や猫3種混合ワクチン接種、血液検査、病院でのソルラクト輸液皮下捕液、皮下捕液セット購入など含めて20,680円でした。※動物病院によって、かかる費用は異なります
ソルラクト輸液を自宅で皮下捕液するにあたって必要なもの
うちの猫さんのかかりつけの動物病院では、いわばスターターキット的なソルラクト捕液セットというものを販売しています。
そのセットには、
ソルラクト輸液500ml 2本、点滴針(21G×5/8)10本、ソルラクトパックと針を繋ぐ管1本、アルコール綿が入って3,300円。
点滴は高い位置からでないと液が落ちにくいし、なるべく早く皮下捕液を終えてしまいたいので、加圧輸液バッグ(Amazonなどで3,000円前後)と、1回のソルラクトの量を適切に量るために、手ばかり(1,500円~2,500円前後)、部屋の鴨居やカーテンレールに引っかけるS字フックがあるといいです。 またセット内のアルコール綿はすぐ使い切ってしまうので、消毒用の脱脂綿や消毒用のエタノールを買っておくと便利です。
部屋の高い位置に手ばかりを吊るして、そこに圧力バッグにセットしたソルラクト輸液を引っかけてから、現在の量のところにマスキングテープを貼り、目標量の位置にもマスキングテープを貼ったら準備OK。
猫さんの肩甲骨の間あたりの皮膚を引っ張って、アルコール消毒してから針を刺してソルラクト輸液を入れていきます。皮下捕液をするときは、猫さんがいやがるので最低でも2人態勢がオススメ。
猫さんをクッションや台の上でうつ伏せにさせた状態で、前足を押さえる係が1人、針を刺して、ソルラクト輸液を入れて、量を見る係が1人、という感じです。
こんな感じで刺せたら、一気にソルラクト輸液を入れていきます。人間の点滴は体に負担をかけないようゆっくり時間をかけますが、猫さんの皮下捕液の場合は、いったん皮下にソルラクト輸液をためてからゆっくり吸収していくので、早く済ませてしまって問題ないとのこと。むしろ素早く済ませてあげるのが猫さんのストレスも少ないんだそう。
そこで、圧力バッグをパンパンに膨らませると、ソルラクト輸液がどばっと落ちて、皮下捕液のスピードアップがかなうのです。
うまくソルラクト輸液が入っている時は、液が勢いよく落ちているのがわかります。
針を刺す時は、針穴を上に向けて刺しますが、ずっと針穴を上向きで押さえていると、液があまり落ちないことがあるので、抜けないように注意しながら手を離してみると、自然と向きが変わることがあります。抜けなければいいので、向きが変わっても成り行きに任せておくと、液が早く落ちている場合が多いので、液の落ち方を見ながらやってみてください。※見やすいようにタオルで再現しています
こんな感じで針が倒れてしまってもOK。慣れないながらも、200ml/週1回、ソルラクト輸液の皮下捕液をスタートさせました。
週1回のソルラクト皮下捕液を開始して約1か月→2023年8月21日のクレアチニン数値
週1回のソルラクト輸液をはじめて、およそ1か月。適切にできているか、効果など気になり来院。血液検査をしてもらいました。
検査日:2023年8月21日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週1回、1カ月間
年齢:14歳2か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.56mg/dL ※前回より0.08mg/dL減少
尿素窒素(BUN):33.8mg/dL ※前回より1.5mg/dL増加
誤差の範囲かもしれないけれど、クレアチニン数値が0.08mg/dL減少していたのは(飼い主にとって)かなりうれしいことでした。また、診察してもらって自宅でのソルラクト捕液も適切に処置できているとのこと。
改めてやり方の確認などのため、看護師さんにソルラクト捕液をやってもらい、相談ののち自宅でのソルラクト捕液は200ml/週2回でやっていくこととなりました。
この日の費用は血液検査や皮下捕液、ソルラクトパック(4個)購入などで16,280円でした。※病院によってかかる費用は異なります
週2回のソルラクト皮下捕液を開始して約1か月→2023年9月16日のクレアチニン数値
200ml/週2回のソルラクト捕液をスタートさせてから、およそ1か月経ったので血液検査のため来院。
検査日:2023年9月16日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週2回、1か月間
年齢:14歳3か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.49mg/dL ※前回より0.07mg/dL減少
尿素窒素(BUN):29.8mg/dL ※前回より4.0mg/dL 減少
クレアチニンや尿素窒素(BUN)の数値が下がっていることに喜び。とはいえ、獣医師曰く、一度悪くなった腎臓は良くはならないので現状維持がとにかく大切とのこと。
ソルラクト輸液をいくら頑張っても現状では、突然クレアチニンの数値が正常値に戻るということはないのです。知っていたけど、微々たる数値の上下で一喜一憂してしまう飼い主。
とはいえ、自宅でのソルラクト捕液の効果は出ているので(現状維持できていることが重要)、相談の結果、この日以降、ソルラクト捕液の頻度を200ml/週3回に増やすことにしました。
この日、かかった診察費用は血液検査や、皮下捕液セット・ソルラクトパック(5個)購入などで、合計20,350円でした。※病院によってかかる費用は異なります。
週3回のソルラクト皮下捕液を開始して約2か月→2023年11月11日のクレアチニン数値
200ml/週3回のソルラクト捕液をスタートさせてから、およそ2か月経ったので血液検査のため来院。
検査日:2023年11月11日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週3回
年齢:14歳5か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.68mg/dL ※前回より0.19mg/dL 増加
尿素窒素(BUN):35.3mg/dL ※前回より5.5mg/dL 増加
クレアチニン、尿素窒素(BUN)ともに増加していることにショックを受けたのは言うまでもなく……。
さらにソルラクトの皮下捕液を開始してから、ウンチがゆるくなっていることも気がかりだったので、相談したところ、腎臓が悪くなってくると猫さんはうんちがゆるくなりがち。そこにきて大量の水分を体に入れているのだから、軟便はいたしかたないらしい。
また、下痢をしているとクレアチニンや尿素窒素の数値が悪くなることがあるので、数値に一喜一憂しないようにとも励ましていただく。
整腸剤を病院で処方すると高額になるのと、ネットでも購入できるから自身で手配してほしいと言われたものの、薬の名称や容量などわからないので、ひとまず少量を処方してもらうことに。
整腸剤は『ビオイムバスター錠』といって、ネットでは100錠入りの箱がだいたい2,500~3,000円前後で売られていました。
猫さんへの皮下捕液やトイレ回数のメモの加え、うんちの状態なども、細かく見ていく必要が出てきてしまいました。猫さんのウンチの改善の記録は今後まとめていきます。
この日の診察費用は、血液検査をはじめ、皮下捕液セット、ソルラクトパック6個、針10本、ビオイムバスター錠の処方など含めて21,186円でした。 ※かかる費用は動物病院によって異なります。
週3回のソルラクト皮下捕液を継続→2023年12月23日のクレアチニン数値
検査日:2023年12月23日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週3回
年齢:14歳6か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.68mg/dL ※前回から±0
尿素窒素(BUN):35.3mg/dL ※前回より0.3mg/dL 増加
軟便に加えて、ウンチに血が混ざっているのを発見してしまい慌てて来院。
クレアチニンと尿素窒素(BUN)はほぼほぼ現状維持できていましたが、ウンチの状態が良くなくて、本人もトイレ付近でソワソワしていることがあるのでなんとかしてあげたい。
血の混ざったウンチ写真を見せつつ相談したところ、(目視でしかないが)ウンチ自体が血便というわけではなくて、いきんでウンチを出す際に内壁が切れて血が混ざったのではとのこと。
先月から、整腸剤のビオイムバスター錠を飲ませているのに加え、下痢止め(止瀉薬)の『ディアバスター錠』を併用することになりました。
ソルラクトの皮下捕液は引き続き、200ml/週3日の頻度で続けます。
この日の診察費用は、血液検査と、皮下捕液セット、ソルラクトパック5個、ディアバスター錠の処方など合わせて、21,186円でした。※動物病院によってかかる費用は異なります。
■週3回のソルラクト皮下捕液を継続→2023年1月24日のクレアチニン数値と尿検査
前日の深夜、猫さんがトイレから出てきてすぐ、オシッコを片づけようとしたところ、赤茶色のようなオシッコを発見。猫砂で変色しているものの、血尿なのではという不安にかられてしまい、急患で来院(予定ではあと1か月くらい先でいいかなと思っていた)。予約せずに行って申し訳ない限りです。
ビニールに入れたオシッコの塊を見せたところ、おそらく血ではなくて、たまたま濃いオシッコが出ただけかもしれない、とのこと。念のため血液検査と尿検査をしてもらいました。
検査日:2023年12月23日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週3回
年齢:14歳7か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.68mg/dL ※前回から-0.02mg/dL
尿素窒素(BUN):36mg/dL ※前回より0.7mg/dL 増加
結果は、クレアチニン、尿素窒素(BUN)ともに現状維持、オシッコも異常なしでした。また、腹水が溜まっていないかも診てもらいましたが、ソルラクト皮下捕液に関してはかなり適切に管理できているとのことでした。このまま現状維持できていけたらいいな・・・と切実に思いました。
この日の診察費用は、尿検査、血液検査に加えて、胃薬的なガスモチンとファモチジンの処方、ソルラクトパック5個、針10本購入し、22,280円でした。※かかる費用は動物病院によって異なります。
週3回のソルラクト皮下捕液を継続→2024年3月11日のクレアチニン数値
週3日のソルラクト皮下捕液を開始して、およそ半年たちました。ほぼ定期となっている血液検査のため来院。
検査日:2024年3月11日
ソルラクト捕液の頻度:200ml/週3回
年齢:14歳9か月
クレアチニン(Cre/creatinine):2.63mg/dL ※前回から-0.05mg/dL
尿素窒素(BUN):34.8mg/dL ※前回から-1.2mg/dL
クレアチニン、尿素窒素(BUN)ともに微減。現状維持できているところでかなりの喜び。
さらに、腎臓が悪くなると貧血になりがちになるが、PCV(充填赤血球量)も参考基準値の範囲とのことで、一安心。
また、ビオイムバスターとディアバスターの併用を開始してから、ウンチの状態も軟便からは脱したことも好影響なのか?「よくできています」とのお言葉を頂戴して帰宅。 この日の診察費用は、血液検査とソルラクトパック10個、針20本の購入で21,780円でした。※動物病院によって、かかる費用は異なります。
▶2024年4月以降のクレアチニン数値についての詳細は別記事で公開していきます
自宅でのソルラクト皮下捕液にかかる費用について
うちの猫さんは体が大きく体重があるので、1回あたりのソルラクト皮下捕液の量が200mlとされています。
ソルラクトパックは500ml入りですが、2回使って残りの100mlを入れて針を刺し直して……となると、猫さんのストレスも皮膚へのダメージも大きいため、もったいないけど残った100mlは捨ててしまっています。
▶そのため、週3回のソルラクト皮下捕液をすると、1か月で約7~8本(1,100円×8)、針を12~15本(1本55円×12本)で、最低でも9,000円~1万円前後の費用がかかります。
▶そこに、初期費用として手ばかり(1,500円~2,500円前後)、点滴用の圧力バッグ(3,000円前後)消毒用のエタノールや消毒用のコットン、替えのライン、S字フックなども必要になります。
▶ほか、軟便の予防のためのサプリメントとして、「ビオイムバスター(1箱2,500~3,000円前後)」と「ディアバスター(1箱2,500~3,000円前後)」をそれぞれ1か月で1箱ずつ使うため、ここに約6,000円追加されます。
▶さらに猫さんの状態を知るためにも血液検査は定期的に必要になってくるので、ここに動物病院代が加わりますが、動物病院代を加えなくても、うちでは1か月に1~2万円かかっています(ごはん代、猫砂代は別)。
針を毎回替えないという人もいるので、飼い主さんによって費用感は異なると思いますが、自宅でのソルラクト皮下捕液の参考にしてください。